F1アメリカGPで起こった「事件」について自分なりに考えてみる。

F1アメリカGP。リザルトだけ見れば出走20台完走6台ということになるんですかね?まぁしかし、自分が15年以上F1ファンしていて、事故以外で「見ていて切なくなったGP」ってのはこれが初めてですね。もう、各所でこの「事件」の内容や思うことなどは語られていると思いますが、一F1ファンとして自分も書かせてもらいます。
事の発端は金曜日に起こったラルフ・シューマッハのクラッシュ。この原因がミシュランタイヤの構造の問題である可能性が高いということがわかり、ここから事態が一挙に動くことに。今回ミシュランタイヤが持ち込んだタイヤはこのアメリカGP独特のバンク部分を走るには危険過ぎる(具体的に10周以上走るのは危険)とのことで、当初ミシュランは替わりのタイヤを空輸し使用を認めるようにFIAに掛け合った。
しかし、これが今年のレギュレーションに反するということでFIAはこれを拒否。「最終バンクの前に臨時のシケインを作ってくれ」という案も全チームの同意が得られず(フェラーリが反対)で却下。で、決勝のグリッドには一応全チームのマシンが並んだものの…フォーメーションラップを終える地点で全10チーム20台中ミシュランユーザーの7チーム14台のマシンがピットへ向かいマシンをガレージへ入れるという事実上の棄権。グリッドからスタートしたのはブリヂストンユーザーのフェラーリ・ジョーダン・ミナルディの3チーム6台のみ。レース自体はレギュレーションに則り成立、という運びになった。
…と、ここまで起こった内容を書きました。ここから、各団体について意見や思ったことを。

ここまでFIAって強硬だったっけ?という風に思いましたね。一昔前は、危険になりすぎたマシンを安全に…ということで色々と規制していったり、チーム側の意見を取り入れたりしていたはず。なのに、なぜ今回は受け入れられなかったんでしょう?そもそも今年の「レース中のタイヤ交換はナシ」というのも理解しがたいです。かつてのようにスリックタイヤで、というのならまだしも溝付きタイヤでそれは…というのが正直なところ。もう少し柔軟な対応をして良かったんじゃないかな…と思います。ミシュラン側にも悪い点はもちろんありますが、FIA側がその1点張りというのは疑問が残ります。ならば「ミシュランユーザーのチームはどういう形でレースに参加すれば良かったのか」を示すべき。どっちにしろレース中にタイヤ交換した地点でレギュレーション違反ですし、「ミシュランユーザーはバンク部分だけ速度を落として走ればイイ」とかも本当のレースじゃないですよね。
一番に考えるはレースを楽しみにしているファンのこと、じゃないんですかね。

コースに対応するタイヤを持ち込めなかったのはそもそもの問題ですよね。レギュレーションが変わったのは今年からとはいえ、このコースで走るのが初めてというわけではナイんですから、対応させてくるべき。ここはミシュラン側の完全な落ち度です。
その後に主張したことはわかります。ブリヂストン側も同意していたのだから、FIAがイエスと言えなかったのが残念でならない。でも、ボイコットという形でしか抗議を示せなかったんですかね。ミシュランユーザーには数周ごとのピットインという形でもいいから走ってほしかったなぁ…。走れなかったドライバー達もさぞ悔しいでしょう。

  • レース主催者

納得いかないでしょうね。そりゃあ、来年以降のアメリカGP開催も考えちゃいますよね。大打撃を受けた団体の1つでしょう。ご愁傷様としか言えません…。

  • 現地観戦のファン

「金返せ!」でしょう。その気持ちはごもっとも。年に1回のF1。楽しみに行った人は多いはず。アメリカ国内のファンもそうですが、世界各国からツアーで観に行ったファンにとっては最悪の状況でしたでしょうね…。ただ、走行しているマシンに向かってペットボトル投げちゃいけませんよ。走っているドライバーはレギュレーションに則っているワケで、何も悪くないですし…。危険過ぎる行為であることはわかっていてもらいたい。走行中のマシンにあたっちゃいけません。

  • テレビ局・スポンサー

世界各国、今回のレースを中継したテレビ局・スポンサーは大打撃でしょうね。彼らも被害者。日本のフジテレビも然り。今回なんかは「コンフェデ終わりでたまたまテレビを回したらF1がやってる→じゃあ見てみるか」という流れもあったはずで、一種チャンスだったと思うんですよ。それがこの事態じゃあ…中継している側はたまりませんね。フジテレビにとって災難だったのが、生放送だったこと。ヨーロッパでのGPでの出来事だったら編集と差し替えでどうにでもなったでしょう。ご愁傷様。

  • 日本でテレビ観戦のファン

寝ちゃった人が多かったんですかね?(笑) それとも、この「事件」を目に焼き付けようと見た人が多かったでしょうか? 自分は後者でしたが…どういった想いで見ていたんでしょうね。
とにかく、FIAミシュランには双方に責任があります。責任の擦り付け合いはとっととやめて、両者が非を認めて、そしてちゃんとした形でまずはファンへの謝罪をしてください。それがなければ、たった1回のことでもファン離れが進むかもしれませんよ。次回のフランスGP前までに何らかのアクションを起こしてもらいたいものです。
そんな中、救われた点もいくつかありました。

どうせならバリチェロが先着してたらおもしろかったですけどね。まぁ、走っていた6人はみんな真剣だったと思いますが、その中でもバリチェロの意地が垣間見れたことは数少ない良かった点の1つです。

ジョーダンのモンテイロはこんな形であれ3位表彰台。「完走しなければならない状態」で完走した6台すべてがえらいですけど、その中でもモンテイロはデビューから全戦完走しているという素晴らしい堅実性。彼にとっては今回はプレゼントのようなものでしょう。重い空気の中、彼だけが喜んでいて場違いのようにも見えましたが、それは彼の素直な気持ちでしょうし、得た結果としては最高のもの。自分としては彼の笑顔に救われました。また、普段陽のあたらないジョーダン勢(ここは数年前はトップ争いもしてたチームですけどね…)・ミナルディ勢がこれだけテレビに映ったというのも何とも。

ブリヂストンユーザーだったために今年初のポイントを獲得できたミナルディ。ですが、チーム代表のストッタードはレース中も抗議の姿勢を示していましたし、このレースそのものにも納得してない様子。ただただ素晴らしい。
これまで色々と書きましたが、自分が言いたいことはただ1つ。「愛すべきF1であってほしい」というのがファンとしての願いです。