「Run For The Dream」第1話「出逢い」

さぁ〜、昨日思いつきで書いてしまった企画。今日から不定期で書いていこうと思いますよ。序盤はノートから移すだけですが、途中からはストーリーも考えていかないと…。尚、設定等はこちらにて小説アップ時に同時に更新していこうと思います。小説のタイトルは仮です。ちなみにこういった馬名の馬いましたねぇ…。
もちろんですが、小説内に出てくる人物は実際の人物とは関係ありませんが、名前・性格・年齢等は参考にしている部分が大いにあります(笑)
それでは、自己満足小説ですが、読んでくださる方は「続きを読む」をどうぞ。ご指摘、ツッコミ等大歓迎です(笑)














2006年初冬、夢を追いかけていた1人の青年がその夢を志半ばで断念せざるを得なくなった。しかし、その青年は夢を諦めきれず、自分の夢を託すことのできる誰かとの出会いを求めた。そして、時は2008年…


<2008年3月15日阪神競馬場内待機所>



「ハイ、これ次のレースの分な。52kgでの騎乗だな。9戦目、そろそろ決めてもらいたいな…行けるか?」
「…決めてくるけん、黙って見ちょって!」
「よし!行って来な!」


2008年の日本競馬界。数年前まで競馬界では女性は冷遇されていたが、近年の活躍により騎手を始め、調教師、厩務員など競馬に関わる様々な職業で女性が活躍するようになっていた。そして、2008年の新人ジョッキーは3人ともに女性。3月1日にデビューした彼女達はデビュー3週目を迎えていた。


(今の所2番人気か…ユタカさんのが1番人気だけど+14kgは見た目にも太い。こっちがアンチャン*1だから2番人気に甘んじてるけど、勝てるチャンスは充分にあるはず。亀井がさっきの中山3Rで勝ったし、道重もこの後有力馬に騎乗するし…れいな、ここで決めろよ!)


2008年デビューの3人の騎手の顔ぶれ。
1人目は亀井絵里美浦・保田厩舎所属。
2人目は道重さゆみ栗東・稲葉厩舎所属。
そして3人目が…


『7番 タッチマイハート 448kg +6kg 鞍上は田中れいな騎手』


田中れいな栗東・中澤厩舎所属。そして…


「どやろ?勝てるかねー、あの娘? 馬はここに合わせてキッチリ仕上げてきたつもりなんやけど…」
「前走もれいなが乗って3着してますしね。仕上げは真希さんのお墨付きですし…ここは勝ってもらわなきゃ、いや勝たなきゃダメでしょ!」
「そやなー。勝てんかったら次は乗り替わりやで。逆に今日勝てたら、この馬の主戦任せてイイって馬主さんが言ってはるけどなぁー」
(れいな、焦るなよ…今日の馬場なら十分差せるんだから…馬の力を信じて乗ればいいんだから…)
阪神競馬第6レース、4歳上500万下ダート1800mの競走…スタートしました!』
(よし、スタートはまずまずだな…)
関西弁の調教師が中澤裕子その人。開業5年目の新進気鋭の調教師である。少々酒癖は悪いが、馬の管理能力に関しては一流トレーナーと遜色ないと言われている。
その中澤と話しているのが、カスガトモキ。田中れいなのバレットを務めている。新人騎手にバレットが付くのは異例中の異例と言っていいが…なぜ彼がバレットを務めているかと言うと数週間前に遡る。
<2008年2月某日競馬学校卒業式当日>


「写真撮影も終わったし…あ〜、いよいよジョッキーになるとね…」
「お〜い、田中ぁ〜!」
(あ、斉藤教官だ。どうしたっちゃろ…)


斉藤瞳JRA競馬学校の教官の1人である。


「あ、斉藤教官!!お世話になりました!!」
「いやいや、いーってコト。それより…あなたに会いたいって人が来てるわよ」
「(…れいなに?)…私にですか?」
「そうみたいよ。何かワケありみたいで…とにかく行ってらっしゃい」
「(ワケありぃ〜!?余計、意味わからんと…)はぁ、わかりました」


そして…


「そっかぁ…色々とあるんだねぇ」
「…お、噂をすれば来たみたいよ」
「大谷教官に村田教官!…と、この人誰ですか?」
「ちょっ…田中ぁ!」
「まーまー、大谷さん、そう気を立てずに…」


田中が驚くのも無理のないことだった。教官として見慣れた大谷雅恵村田めぐみの他にもう1人見知らぬ男がそこに立っていたからだ。


「じゃ、紹介するよ。こちら、カスガトモキさん」
(カスガ…どこかで聞ーたような…?)
「初めまして!カスガトモキって言います(ニコッ)」
「ホラ、田中、挨拶は?」
「は、初めまして!田中れいなです!」
田中れいな…じゃあ、れいなでいっかな?」
「(あ、会っていきなり呼び捨て!?どういうことっちゃ!?それに、どーしてれいなに会いに…)ハ、ハァ…」
「いや、ゴメンゴメン!ホラ、ジョッキーってカツハルさん始め田中姓多いから…これから一緒にやってく上で、呼びやすい方がいいかなぁ〜って」
「(い、一緒にって???)…え…その…カスガさん?」
「トモキでいいよ(ニコッ)」
「(???)…トモキさん…はれいなに何の用でこちらに…?」
「実はさ、キミの…れいなのバレットをやらせてもらいたいなぁ〜なんて思ってて…」
(バ、バ、バ…バレットぉ!?)


バレットとは、レース開催時に騎乗時に使用する道具の準備など騎手のために雑務をこなす存在のことである。


「それにしても、新人騎手にバレットなんて異例中の異例だよねぇ?」
「ねぇ?」
「まーまー、大谷さんも村田さんもイイじゃない(笑)…俺の選択なんだしさ」
「口出しはしないけど…驚いただけのことよ」
「田中は知ってるかわからないけど、彼、去年1年間は飯田騎手のバレットやっていたのよ」
「(え!飯田さんの?)そーなんですか?」
「そうなんだよね。ただ、知っての通り、飯田さんは今年になって騎手辞めて若くして調教師に転身されたから…仕事なくなっちゃってねー(笑)」
「(え?もしかしてこの人、あの…でもそうだとしてなんでバレットなんかやっとーと?)ハァ、そうなんですか」
「で、一流どころのジョッキーはもうほとんどバレットいるか、自分で何でもやっちゃうかって人ばかりだし、かと言って、いわゆる、その、中堅どころの…ちょっと言いにくいんだけど伸び悩んでいる人の所行ってイイ様に使われるのも…って思って行き着いた結論が新人さんのバレットってワケよ!」
「でも、絵里やさゆ…(とと;;;)亀井や道重もいるのに、なんでれいななんですか?」
「ちょっと、田中!言い方が…」
「いーから、大谷さん。ダイジョブだから」
「でも…」
「そりゃ不思議に思って当然だし。18の女の子がいきなりこんな男に来られて、こんな事言われりゃ…村田さんでもそうでしょ?」
「そ、そりゃまぁ、アタシだって、そーだけどさ…」
「ね(笑)…で、何でかって言うと…実は、去年の模擬レース見ててさ」
「え!見てたんですか!(…でも、あれ勝ったのは絵里だったのに)」
「そう、見てたのさ。それで…れいなの馬は3馬身くらい出遅れたけど、直線で追い込んで2着に持ってきてたよね。勝ったのは別の馬だったけど、あのレース見て俺が1番評価したのはれいなだった」
「そーなんだぁ…私なんかはそのまま亀井評価してたけどな」
「ワタシは道重も良かったと思ったけど…」


(大谷教官…村田教官…あの時口じゃ「田中頑張ったな!」って言っちょったのに…)


「…で、ご両人がどう思ったかはともかく、俺としては、どーせバレットやるなら将来性のあるヤツがいいな、と思ってね。それで直々に今日、お願いしようかなーと思ってきたんだけど…やっぱ俺の目に狂いはなかったな」
「(え…れいなのコトそこまで評価してくれとーと?)あ、ありがとうございます!」
「いや、まだ何もしてないし(笑)…ってコトで依存はないのかな?」
「も、もちろんです!」
「そっか、良かった(ニコッ)…じゃあ、これからよろしくな!!!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
…と、こうしてれいなとトモキのコンビが結成されたわけだ。


一方、レースの方は800mを通過していた…




Coming Soon!!!



*1:減量騎手・見習い騎手のことを指す。